瀬戸内海の穏やかな風が吹き抜ける街、今治。特別なテーマパークやレジャー施設に足を運ばなくても、ここには子どもたちの好奇心をかきたてる大きな“あそび場”が広がっています。海に、山に、川や島、そしていつもの公園。「こんなに豊かな自然がすぐ近くにあるのに、使われていないのがなんだかもったいなくて」そう語るのは、朝倉地域を拠点に活動する子育て支援団体「Mother earth.(マザーアース)」代表の越智友美さん。元保育士の越智さんが立ち上げたマザーアースでは、身近な自然そのものが子どもたちの無限のフィールドです。Mother earth.(マザーアース):愛媛県今治市朝倉で活動する子育て支援団体。民間の放課後児童クラブや認可外保育施設を運営するほか、地域に向けた「マザーアースみんなの食堂」などを展開。自然の中でのびのび育つ子どもたちの居場所づくりを行っている。「自然の中に足を踏み入れると、子どもたちって本当に“自然体”になるんですよね」虫を見つけたら追いかけ、珍しい石があれば集めてみる。そんな身近な自然がすぐそばにある今治ならではの自然あそびを、一緒にのぞいてみましょう。あそびが立ち上がる、自然のフィールド今日もマザーアースには、子どもたちが目を輝かせながら集まってきました。「今日は何してあそぼうか?」「神社でボールあそびする?」「水路で水あそびもいいね」マザーアースのあそびに決まったスケジュールはありません。海や川、田んぼの水路、神社の境内。身近な自然の中へ出かけ、そこで見つけたものから自然とあそびが生まれていきます。「近所の神社には、特別な遊具なんて一つもありません。でも私たちが子どもの頃って、虫取りをしたり、鬼ごっこや缶蹴りをしたりして、日が暮れるまであそんでいましたよね。そんな“あそび場”がすぐそばにあることこそが、今治の本当の魅力だと思うんです」越智友美さん:「Mother earth.(マザーアース)」代表。保育士としての経験と自身の子育てを経て、今治の身近な自然の中で子どもたちが伸び伸びと育つフィールドづくりを行っています。マザーアースの原点は、越智さんが自身の息子さんや保育士時代の教え子、ママ友の子どもたちを自宅で預かり、近所の神社や川へ連れ出したことでした。「自然の中にいると、子どもたちの表情が変わるんです。魚を見つければ『一緒に捕まえて!』『そこ守って!』と自然に声を掛け合って仲間意識が芽生えたり、『どうやったら捕まえられるかな?』と知恵を出し合ったり。心を豊かに育んでくれる力が、自然あそびにはあります」決まったルールや説明書のない自然の中では、子どものアイデア次第でどんなものでも最高のあそび道具に変わります。「大人が『遊ばせなきゃ』『どこかに連れて行かなきゃ』と構えなくても、目の前にある自然そのものが、子どもたちの『知りたい!やってみたい!』を引き出してくれるんです。日常の中にこれだけ多様なあそび場が眠っている今治は、子どもたちの可能性をどこまでも広げてくれる、最高の場所です」親子で訪れたい今治の自然あそびスポットそれではいざ!越智さんと子どもたちが実際に訪れ、「ここは本当におすすめ!」と太鼓判を押す今治のあそび場をご紹介。好奇心のままに楽しむ、自由なあそびの風景をのぞいてみましょう。1.公園で「ルールをつくってあそぶ」身近な公園だって、子どもたちの手にかかれば全く新しい世界に生まれ変わります。「ネット遊具に寝転がって空を見上げてみたり、『この色しか触っちゃダメ!』とクライミング遊具で独自のルールを作ってタイムを競い合ったり。大人が教えなくても、あそびを自分たちで次々と発明していくのが、公園あそびの醍醐味です」自然を身近に感じられる広場から、ダイナミックな大型遊具がある公園まで、今治には子どもたちの好奇心をくすぐる公園がいっぱいです。そのなかでも、特に子どもたちに人気の高いお気に入りの公園を教えてもらいました。◆今治こども公園おひさまパーク(今治市町谷・バリクリーン横)大型の複合遊具やロープウェイがあり、身体を思い切り動かせる人気の公園。園内のプレイエリアは乳幼児エリア、幼児エリア、児童エリアと年齢別に分かれていて、各年代が安心して楽しめるよう複合遊具などが整備されています。ボール遊びや自転車が楽しめる多目的広場もあり、開放感あふれる空間は、週末になると多くの子ども連れでにぎわいを見せています。「大きな遊具は、登って滑り降りるだけでなく、子どもたちの創作ダンスやオリジナル鬼ごっこの舞台にもなります。たくさんの仕掛けに刺激されて、子どもたちがアイデアを出しながらひたすら夢中であそべる場所です」施設名:今治こども公園おひさまパーク住所:今治市町谷378設備:無料駐車場あり、無料トイレあり◆瓦のふるさと公園(今治市菊間町)山の上に位置し、大きな複合遊具と見晴らしのよさが魅力の公園。公園内には全長120メートルのローラーすべり台があるほか、瓦で制作された干支のオブジェがあちこちに点在しています。遊びながら自然と地域文化に触れられるのも魅力です。「大型遊具全体を使ったダイナミックなあそびはもちろん、高台からはJRの電車や海を行き交う船が一望できます。乗り物好きのお子さんなら一日中夢中になれる場所です」施設名:瓦のふるさと公園住所 :今治市菊間町浜3067設備 :無料駐車場あり、無料トイレありその他:園内にあるかわら館では、瓦粘土を使った創作体験も可能。 月曜・年末年始は休館、開館時間は9時〜17時まで。2.山で「探す」「探検する」木々が生い茂る山や道端の草むらは、探検心の宝庫。松ぼっくりやどんぐり、色鮮やかな落ち葉を拾い集めるだけでも、季節の変化を感じられます。「時期によっては野いちごを見つけて摘んで食べることも楽しみの一つ。自分たちの足で一歩ずつ歩き、珍しい生き物や草花を見つける時間は、子どもたちにとって特別な大冒険になります」山へ入るときは、長袖・長ズボンと動きやすいスニーカーがあると安心。木陰に入るとすっと心地よい風が吹き抜けて、大人にとっても最高の気分転換です。◆笠松山標高357mと、子どもでもチャレンジしやすい高さで、しっかりと登山体験を味わえるスポット。登山道も整備されているので、迷うこともありません。朝倉地区の野々瀬上登山口から、子どもの足で山頂までおよそ1時間。山頂から見渡す瀬戸内海の青が織りなすパノラマに、達成感もひとしおです。実はこの笠松山、これまで二度の大きな山火事を経験しています。今は地域の人々の手によって植林や整備が地道に重ねられ、再生の真っ最中。『自然は何度でも生まれ変わるんだよ』という自然のたくましさを、子どもたちと一緒に肌で感じられるスポットです。施設名:笠松山(野々瀬上登山口)住所 :愛媛県今治市朝倉南丙設備 :無料駐車場あり、無料トイレありその他:登山口および山頂にはトイレがないため注意川で「観察する」「触る」マザーアースの川あそびは、あせらず段階を踏むことから始まります。シーズン一番最初の川あそびではあえて泳がず、子どもたちとじっくり「下見」をすることからスタート。「川の流れはどうかな?水深は去年と違う?匂いや風の湿気まで、まずは五感を使って全身で観察します。その上で『今の自分は行けそうかな?』と子ども自身が考え、必要なライフジャケットなどの道具を自分たちで準備していくんです」自然には危険もつきもの。でも大人が先回りして「危ないからダメ!」となんでも制限するのではなく、子ども自身が『今の自分にできるかな?』と見極める体験を大切にしているのだとか。「大人が危険をすべて取り除いてしまうと、子ども自身が危険を察知する力を育てる機会もなくなってしまいます。ちょっと水に入って苦しい思いをしたり、滑りやすい場所に気づいたり。そんな小さな経験から、子どもたちは安全なあそび方を学んでいくんです」そうした経験は、子どもたち同士の関わりにもつながっていきます。「ここは滑るよ」「こうすると危ないよ」。年上の子が年下の子に自然と教えるようになり、あそびの中でお互いを気にかける姿が生まれていくのだそう。「もちろん、『ちょっと怖いな』と思う子は、水に入らなくてもOK。河原のきれいな石を探したり、砂を集めたり。そんな収集あそびも子どもたちに大人気です。そうやって自分のペースで親しみながら、心も体も大きくなったら、冒険心を胸に川上を目指してひたすら探検へ出かけていく。 成長に合わせてあそびが広がるのも、川の面白いところですね」◆ふれあいの森「森林館」(今治市玉川町鈍川)清流と豊かな緑に囲まれたスポット。駐車場やトイレが整備されており、小さなお子さん連れでも安心して川辺へ下りられます。「飛び込める深さのある場所で泳ぐ子もいれば、岸辺で輝く砂を集めたり上流へ探検に出かけたり。どんな子も自分の『やりたい!』を見つけられる場所です」施設名:ふれあいの森「森林館」住所:今治市玉川町鈍川庚730-1設備:無料駐車場、休憩スペース、無料トイレありその他:団体等で使用の際は、事前に「施設使用許可申請書」の提出が必要海辺で「拾う」「浮く」「海といっても、子どもたちの過ごし方は本当にそれぞれ。プカプカと波に浮かび続ける子もいれば、泳ぎの競走をする子もいる。釣り人を見つけては『魚捕れてるかな?』と水の中からこっそり覗きに行く子もいたりして(笑)」そして泳ぐことだけが海の楽しみ方ではありません。浜辺を歩いてお気に入りの貝殻やシーグラスを「拾う」宝探しはもちろん、砂浜での砂風呂づくり、波打ち際の駆けっこ。さらに浜辺での「たこ揚げ」や岩場探検など、季節を問わず海は最高のあそび場だといいます。「お日さまの光を浴びるのって、やっぱり大切。日差しが強い時期には、大人も一緒に海に浸かってしまえば驚くほど涼しくて心地いいですよ。ただ、砂浜は熱くて火傷しやすいので、脱ぎ履きしやすいサンダルだけは忘れずに持っていってくださいね」◆虎ヶ鼻海岸公園(今治市桜井・湯ノ浦)桜井・湯ノ浦の海岸線沿いにある、隠れたスポット。人通りが少なく静かで、穏やかな波と澄んだ海が広がっています。「たまたま探検していて見つけた場所です。無料トイレやベンチが整っていて、子どもと一緒でも安心。波が穏やかで景色も良く、親子でゆったり過ごせます」施設名:虎ヶ鼻海岸公園住所:今治市桜井甲1181番地3設備:無料駐車場あり、無料トイレありその他:屋根付きのベンチがあり、ちょっとした休憩◆織田ヶ浜(今治市東村)広い空と心地よい潮風が吹き抜ける、釣り人にも人気の海岸。マザーアースでは冬のあそび場としても重宝しているそうです。「電柱がなく、長く伸びる海岸線は、冬場にたこ揚げをするのに絶好のロケーション。追いかけごっこをしたり、波打ち際で少し足だけ海に入ってみたり、岩場を歩いてみたり。一年を通して海の魅力を満喫できます」施設名:織田ヶ浜住所:今治市東村1丁目設備:無料駐車場あり、無料トイレありその他:すぐそばには市内最大級の富田海浜プールも立地「今日、どこへあそびに行こうか?」休日、子どもとどこへ出かけようか迷ったら、遠くのレジャー施設だけでなく、近所の海や山、公園にふらりと足を運んでみるのもいいかもしれません。何をしてあそぶか、どう楽しむか。あらかじめ決めておかなくても大丈夫。子どもと一緒に、ちょっと寄り道してみる。気になるものを見つけたら、立ち止まってみる。「『うわ、この砂すごくきれい!』『魚がいた!』って。大人が本気で面白がっていると、子どもたちも自然と夢中になっていきますよ」目の前の自然をワクワクしながら観察し、受け止め、親子で一緒に楽しむ。そんな時間も、自然あそびの魅力の一つ。何気ない休日の中に、今治の自然のおもしろさが、まだまだ隠れているのかもしれません。Mother earth.ホームページ:https://www.motherearthpre.com/Instagram:https://www.instagram.com/mother_earth0401/?hl=ja